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    帰り道に自転車に乗って、塔を見てた。
    真っ黒ですごく大きいけど、他の人には見えない塔だった。
    町がつくった箱ものの隣に建ってた。
    その中に入る時間はなかった。いつも仕事に追われていたから。
    まちがえた。帰り道には見えてたけど、行くときにも見えてた。
    帰り道はいつも半分朝だった。中に入りたかった。そのことを詩人に話したら
    空想力があるって言われた、けどちがった。
    ぼくはそれを話すのに、ドイツ語をおぼえたがってた。
    それに、塔に影響されて、黒い表紙の大きな本をつくったけど失敗した。
    空想してたんじゃない。腹の中にそれがあった。
    いろんなやつが住んでた。それはみんな自分の分身だった。
    中に入りたかった。仕事にいくのがこわかった。
    でも全部捨てて、仕事に行かなければならなかった。
    お前は恥ずかしい人間ていうから、
    みんないじわるだった。毎日、泣きながら帰っても、
    友達にも、会え…いなくて、はずかしい人間って
    腹の中にこんなものがいっぱいあるからそういうのか。
    ちっとも悪いなんておもわなかった。塔の中にいくから、
    ほっといてほしかった。ぼくのどこが、恥ずかしい?

    「わたしたちの言っていることは、あなたにとっていい薬になるのよ。」
    「苦くない薬ばかり飲もうとしないの!」と彼女達は言った。
    オブラートに包んでなくても、効く薬ならなんでも、飲むつもりだった。
    その中に効く薬なんか一つもなかった。毎回、腹が痛くなるばかりだった。
    毒なんじゃないのか?腹がいたくなって便所へ行くたびに腸の粘膜がごっそり抜けた。
    彼女も彼も、そんな病気は信じなかった。

    すごく痛かった。はやく自転車に乗るために、這って玄関に行った。
    薬は全然効いてなかった。何もかもが悪化した。
    夜、天井をじっと見て、一晩中起きていた。天井が回ったり、声が聞こえたりした。
    急に吠えて、泣き出したりした。睡眠薬を飲んで、無理矢理眠るようになった。
    塔が消えていくのを感じた。見なくてもわかった。
    腹の中にあったいろんなやつが消えていって、何も言わなくなった。
    これはほんとうに、いいことなの?ただの無害な、いいやつらだったのに。
    ある日あの人たちはぼくのぐったりした様子を見て、ジャンキーと呼んだ。
    その頃のぼくは毎日顔がしびれてうまく喋れなかった。
    毎日睡眠薬を飲まないとどうしても、眠れなかった。
    彼女が二年前、ジャンキーになって消えた女の子の話をしてた。
    おもしろそうに笑ってた。けど怒ってた。
    正しい道に導いてあげようとしたけど、逃げたと言ってた。
    自分が二人目になるのがわかった。
    ぼくにはもう塔が見えなかった。

    ■ Comment

    他人にも個性が有るのにね大概ニヒルなだけの人達は色んな所に居て知り合ってあとはまあどの社会も似たり寄ったりィv-238と思う

    このときは、ただ普通に振る舞っているだけでも、悪気があってやってるみたいにおもわれる日々でした。どこでもそういうことはあるとおもいます。
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